熱分析 (Thermogravimetry Analysis) についてわかりやすくご紹介します。
熱分析装置の仕組み
TG-DTA (熱重量-示差熱同時分析装置) の加熱炉に試料を入れ、昇温し、重量と発熱、吸熱状態の変化を測定ユニットで測ります。ガス化したものはガス分析ユニットに送られ、その成分を分析します。
熱分解反応解析
TG-DTAとMS (質量分析計) を組み合わせて、シュウ酸カルシウムの昇温時の質量変化を測定した事例です。
昇温に伴い、TGでは3段階の質量の減少が観測されています。
①→②で水和水、
②→③で一酸化炭素、
③→④で二酸化炭素
がそれぞれ脱離していることがわかります。
また、MSでは脱離時に脱離した物質の質量をそれぞれ検出しています。
材料の熱的な変化を見逃しません
熱分析は、温度を変えて材料の変化を見る分析手法の総称です。
例えば熱を加えることで燃焼する材料は、燃焼時に試料の炭素と酸素が結合し、二酸化炭素が発生することで試料の重量が減少します。また、食塩や金属など昇温によって融解する材料は、融解の際に熱を余分に吸収するため、温度が上がりにくくなる瞬間があります。そうした反応を見ることで、材料の特性を知ることができます。調べられる熱的性質は沸点、融点、凝固点、温度上昇時の比熱 (熱容量) 、加熱したときの重量変化 (0.1mg単位まで) などです。材料の熱膨張を調べるための長さ (0.1μm単位まで) の計測や弾性率など熱機械的特性を測ることもできます。重量変化や比熱の変化を測定するTG-DTA (Thermogravimetry-Differential Thermal Analysis、熱重量-示差熱同時分析装置)は、室温から1350℃まで計測が可能です。また、試料と基準物質との熱量の差を計測するDSC (Differential Scanning Calorimeter、示差走査熱量分析) は-70℃から300℃まで対応しています。設定された温度域で何らかの現象が起こる材料であれば、固体・液体・気体を選ばず何でも測ることができます。ただし、爆発性・毒性のある材料や潮解性 (空気中で自然に水分を取り込んで水溶液になる性質) のある材料の計測には注意が必要です。