放射光マルチスケールCTを用いたグラファイト膨張収縮の3D異方性解析

活物質の膨張収縮は、Liイオン、電子の導電パスの断裂の原因となります。放射光マルチスケールCTを用いることで、活物質の膨張収縮を非破壊かつ高分解能で捉えることが可能です。3D画像解析により、膨張収縮の異方性などを定量的に議論します。

放射光マルチスケールCTを用いた活物質の膨張収縮評価

リチウムイオン電池の重要な課題の一つにサイクル劣化に伴う容量低下があり、その原因の一つとして、活物質の膨張収縮によってLiイオンや電子の導電パスが断裂することが考えられています。放射光マルチスケールCTを用いることで、膨張収縮を非破壊かつ高分解能で捉えることができ、同一電極内の同一粒子について定量的な議論を行うことが可能となります。

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グラファイト電極の3D画像解析

グラファイト電極を用いたハーフセルを作製し、充放電前後で放射光マルチスケールCT測定を実施しました。観察の結果、膜厚および粒子の膨張が確認されました。日産アーク独自の3D画像解析を用いることで、同一粒子を抽出し、SOCの違いに応じた体積膨張率の算出およびその異方性の評価が可能となりました。抽出された活物質粒子は鱗片状を呈しており、面内方向の膨張率が低く、面直方向の膨張率が大きいことから、グラファイト結晶のc軸がほぼ面直方向に向いていると推定されました。これにより、活物質粒子の結晶配向性が電極の膨張収縮に大きな影響を与えていることが示唆されます。

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