高分子材料は、軽量性などの機能面から多くの業界で活用されていますが、有機物であるため劣化しやすく、製品の安全性や信頼性に影響を及ぼします。この劣化を管理するには、劣化による物性・形態・化学的な変化を多角的に理解することが重要です。
物性・形態・化学的変化の関連付け
高分子材料は、軽量性などの機能面から自動車・建築・包装・電子機器・航空宇宙など多くの業界で活用されていますが、有機物であるため劣化しやすく、製品の安全性や信頼性に影響を及ぼします。この劣化を管理するには、劣化による物性・形態・化学的な変化を多角的に理解し、その結果に基づいて対策を講じることが重要です。ここでは劣化した高分子の形態と化学構造の変化を捉え、変化した物性との関連を示した事例を紹介します。
ポリプロピレン (PP) の劣化解析事例
新品と比較して、①表面が硬くなり、②曲げ強さが著しく低下してしまった不具合品について、まずは現状把握として形態の変化を調べました。不具合品では、③表面に亀裂がみられ、別測定にて分子構造の変化を示唆する蛍光も観測されました。このことから、この不具合品では酸化により表面が脆化して、曲げ強さの低下に至ったと仮説が立てられます。