電解液の遠心抽出法
どんな抽出方法があるの?
大別して、溶媒抽出法と遠心抽出法があります。
電解液の分析は電池性能を評価する上で非常に重要ですが、電池の中には多量の電解液が存在しない場合がほとんどです。さらに電池が劣化するに従い電解液量も減少し、初期より回収が困難になります。電解液の回収方法としては溶媒抽出法と遠心抽出法の2つに大別できます。
日産アークでは、まず遠心抽出法を検討し、できる限り電解液の原液採取を目指します。電解液そのものを回収できるので、電解液の変質も少なく、低濃度成分も見やすいといったメリットがあります。さらに、原液でしか測定できない粘度などの物性値を測定することも可能となります。しかし劣化が進むにつれ、必ずしも原液の電解液が回収できないこともありえます。その際には、電池内の電解液を溶媒で抽出して回収する溶媒抽出法を適用します。セルサイズやサンプルの状態に応じて、ベストな回収法をご提案しています。
遠心抽出って実際どのように電解液を抽出するの?
高速遠心機を用いて大気非暴露状態で抽出します。
ここでは、18650型電池を例にご紹介します。まず、Ar雰囲気下で円筒電池の底に穴をあけます。そして、図1に示すように電池を回収容器内に収めます。その後、回収容器ごと高速遠心機に導入して、遠心力により電池内から電解液を回収容器へ抽出します。このとき、セルはAr雰囲気下にありますので、電解液および電極を大気非暴露状態で取り扱うことが可能です。
実際に円筒電池から回収された電解液を写真1(a)および(b)に示します。写真1(a)は初期品電池の遠心抽出結果で、約1.0gの電解液原液を回収することができました。さらに、写真1(b)は60℃・300cyc品ですが、このような試験後の電池からも約0.5gの電解液原液を回収することができました。18650型電池以外の大小様々な形状の電池についても、おおよそ同じような原理で遠心抽出の実績があります。電解液原液での採取・分析をご検討の方は、対応の可否を含め、是非日産アークにご相談下さい。