シリコン (Si) ウエハのESR分析サービスです。
ご希望に応じたさまざまな測定条件にも対応可能ですので、是非ご利用ください。
Siウエハ基板の欠陥
シリコン基板とその上に形成した膜との界面には化学結合していない電子 (不対電子) が存在し、結晶欠陥 (ダングリングボンド:DB) と呼ばれ、 その量によって緻密性や電気的性質、エッチング速度などに影響を与えると言われています。
ESR分析は不対電子を検出することが可能であるため、バルク試料の欠陥量測定に有効です。
シリコンのダングリングボンドは通常の室温測定では観測することはできず、約40K (-233℃) 以下まで冷却し、かつ安定した温度での測定が必要です。
当社では4.2Kまでの冷却が可能なクライオスタットを用いた液体ヘリウム冷却による極低温状態でのESR分析が可能です。
Siウエハの欠陥評価
左図に示すようにSiウエハの表面は大気中で酸化され、自然酸化膜が形成されています。 結晶性のSiウエハ上にランダムに酸化膜が形成されるため、Siと酸化膜の界面に欠陥が発生しています。
右図に10Kにおける自然酸化膜のSiウエハのESRスペクトルを示します。 g=2.006付近のPbセンターと呼ばれるシリコンの欠陥 (ダングリングボンド) のピークが検出されていることがわかります。 膜形成時のスパッタなどによりSiウエハがダメージを受けた場合にはこのピーク強度がさらに増加することになります。
シリコンの熱酸化膜内の欠陥評価
熱酸化膜はガラスと同じランダムな結晶構造であるため、酸化膜内にも欠陥が存在します。
左図に10Kにおいてさまざまな厚さの酸化膜を形成したシリコンウエハのESRスペクトルを示します。
Pbセンターのピーク強度はほぼ同じですが、g=1.998付近のE’センターと呼ばれる欠陥が増加していることがわかります。
シリコン表面構造は右イメージ図のようになっていると考えられます。
また、E’センターのピーク強度と酸化膜の厚さの相関図が示しているように、ピーク強度と膜厚が比例関係にあることがわかりました。
よって、酸化膜中の欠陥 (E’センター) はほぼ均一に分布していることがわかりました。
*本分析は再委託分析となります