電極上に形成された被膜を総合的に分析・解析します。
被膜解析のメリット
電池特性を向上させるために、電極表面を改質する開発が行われています。表面改質の方策の一つとして電解液に添加剤を加え、安定な被膜を電極表面に形成させることが行われています。添加剤の使用にともなう被膜の組成や量を理解することは、添加剤の効果を理解する上で重要です。日産アークでは、被膜の総合解析を行い、電池性能改善を支援します。
添加剤としてのLiFSI
リチウムビス (フルオロスルホニル) イミド (LiFSI) は、高温安定性、高イオン電導度を示す電解質塩であることが知られています。また、LiFSIは添加剤として用いた場合、サイクル特性や低温特性に効果があることが報告されています。[1, 2]
今回、0℃でのサイクル試験を行い、負極表面の被膜分析を行いました。
構成内容
正極 :LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2
負極 :天然黒鉛
セパレータ :PP
電解液 :EC/DEC=3/7 (v/v%)
LiPF6 (1M)+LiFSI (2wt%)
試験条件電圧範囲:4.3 V-3.0 V
サイクル数 :50回
レート :1C
試験温度 :0℃
[1] 第79回電気化学会要旨集 2C05 (2012).
[2] Electrochimica Acta, 127 (2014) 39–44.
XPSおよび溶媒抽出LC-MSの結果から、負極表面からはSを含む添加剤由来の被膜成分が検出されました。これらの被膜が生成することでEC由来の被膜成分が抑制される傾向が示唆されました。