インク中のPt/C粒子とアイオノマーの分散状態を可視化します
触媒インクの微細構造可視化の課題
固体高分子型燃料電池の触媒層の微細構造は、電池性能に大きな影響を与えることが予想されます。
現在、触媒層は塗布膜技術を用いて形成されるのが一般的です。この触媒層の膜質を制御する上で、原料である触媒インクの微細構造を把握することが重要になります。
一方、これまで用いられた評価手法 (レーザー回折法、粘弾性測定) では、触媒インク中の微細構造 (Pt/C粒やアイオノマー分布) に関する直接的な情報を得ることは不可能でした。
Cryo-SEM法による触媒インクの微細構造観察
本手法は液状の触媒インクを凍結し、SEM装置内で溶液を昇華させることで、液中の微粒子 (Pt/C粒) とバインダー (アイオノマー) の分散状態を直接可視化することができるようになりました。
溶媒組成によりインク中のPt/C粒とアイオノマーの異なる分散状態を可視化することに成功しました。
分散性の異なる触媒インクで作製した触媒層において、空孔構造 (空孔サイズや膜内分布) に違いが見られます。