電極内に含まれる電解液中のイオンの拡散機構を解析します
PFG-NMR法を用いることで電解液中のイオン、溶媒分子の拡散係数を測定することができます。日産アークでは、これまでセパレータなどの細孔内における電解液拡散係数測定で培った実績とノウハウを活かし、実際の電池に近いリチウムイオン二次電池用合剤正極中での拡散挙動の解析をご提案します。細孔内の制限された空間を動くイオンの拡散係数や細孔の情報がわかります。
PFG-NMRによる自己拡散係数測定原理
パルス勾配磁場 (PFG) を印加することで、分子の移動距離 (⇒拡散係数) を調べることができます。
空間的に異なる磁場を加え、NMR信号の強度を測定する
分子が激しく動くほど、スピンが感じる磁場の不均一性が増加
PFGの強度を変えて信号強度の減衰を観測 ⇒ 分子の拡散係数が得られる
NMRによる電解液含有合剤電極中のLiイオンの観測
試料
電極 :コバルト酸リチウム+PVDF
電解液:1M LiPF6 EC+DEC
Single-pulse法とSpin-echo法によるNMRスペクトルの違い
画像処理による電極空孔評価との比較
・パルスシーケンスの工夫や集電箔レス合剤電極の試作技術により、
合剤正極内でのLiイオン拡散係数を評価することが可能となりました。
・PFG-NMRによる拡散時間依存性評価から求めた空間サイズと
画像処理より求めた空隙サイズで比較的良い一致が見られました。