発熱開始温度や発熱量を調べることで電極の熱安定性を評価できます
材料選定・製造工程に役立つ凝集性評価
正極活物質は高温になると酸素ガスを放出する熱分解を起こし、ただちに発熱します。さらに電池温度が上昇し熱暴走が進むと場合によっては発火や発煙を起こす要因にもなり得ます。
このように電池の安全性を左右しかねない正極材料の熱安定性を評価しておくことは、製品の信頼性・安全性の観点からも重要であると言えます。DSCにより発熱開始温度や総発熱量といった熱安定性の評価が可能です。
Li(Mn, Co, Ni)O2のDSCによる熱安定性評価結果
4.5Vまで充電した場合、4.2V充電品と比較して発熱開始温度やピーク温度が低温側に移動し、熱安定性が低下することがわかりました。発熱ピークは正極材の熱分解による酸素放出とそれに伴う電解液の酸化に起因し、リチウムイオンが抜けた不安定な構造が熱安定性を低下させていると推測されます。