ESR分析 (原理と用途) をわかりやすく解説

フリーラジカルや格子欠陥の定量に有効な電子スピン共鳴 (Electron Spin Resonance:ESR) による素材の評価サービスを提供します。
また、活性酸素などフリーラジカルの同定・定量が可能です。ご要望に応じたさまざまな測定条件にも対応可能ですので、是非ご利用ください。

ESR分析とは?

ESRはElectron Spin Resonanceの略で、電子スピン共鳴と和訳されます。
ESR現象は 1945年に旧ソ連のZaboisky (ザボイスキー) により発見され、EPR (Electron Paramagnetic Resonance :電子常磁性共鳴) とも呼ばれ、 NMR (Nuclear Magnetic Resonance :核磁気共鳴) とともに、同じ原理に基づく磁気共鳴分光法の一つです。

スピンを持った電子に磁場を与えると、ゼーマン効果によって物質のエネルギー準位が2つに分割されます (ゼーマン分裂)。 この2つのエネルギーの差に相当するエネルギー (周波数によってマイクロ波や近赤外光が使われます) を外部から加えることで共鳴を起こします。 このエネルギーの吸収量を検知することでESRスペクトルを得ることができます。 この共鳴現象を利用し、得られたESRスペクトルを解析することで、ラジカルや遷移金属などの物質中の電子のスピンの状態とその量を調べることができます。

ESR分析の用途 (どんなことが分かるの?)

ESRではフリーラジカルと呼ばれる不対電子を持つ物質の同定・定量が可能です。代表的なフリーラジカル物質として、最近話題になっている活性酸素があり、 スーパーオキシドアニオンラジカル (O2・)、過酸化物ラジカル (・OOH)やヒドロキシルラジカル (・OH)、 脂質 (LH) の酸化過程で生じるパーオキシラジカル (LOO・)、 アルコキシラジカル (LO・) などもフリーラジカルの1つです。

また、電子軌道内のd軌道に一つ以上の不対電子を持つ遷移金属 (Fe3+、Cu2+、Cr3+、Cr5+、V2+、V4+、Mn2+、Mn4+、Ti3+、Co2+など) もESRにて検出可能です。 生体中では、活性酸素種の他に、遷移金属イオンを含む化合物が数多く存在し、カタラーゼ、チトクロームC、ミオグロビン、西洋ワサビペルオキシダーゼ (ともにFe3+を含んでいます)、 スーパーオキシドディスムターゼ (Cu2+/Zn-SOD、Mn-SOD、Fe-SOD)などがESRにて分析可能です。 (生体関連分野では1つあるいはそれ以上の不対電子をもつ原子または分子をフリーラジカルと定義しているようです。遷移金属を他の有機フリーラジカルと区別する場合もあります。)

ESR受託分析サービス内容

フリーラジカルや格子欠陥の定量に有効な電子スピン共鳴 (Electron Spin Resonance:ESR) による素材の評価サービスを提供します。
フリーラジカル種および格子欠陥構造の同定、フリーラジカルの定量を行うことが可能です。

ご希望に応じたさまざまな測定条件に対応可能です。

これまでに測定した事例

*本分析は再委託分析となります

×

分析についてのご相談などお気軽にお問い合わせください。