構造材や機械部品の強度に影響する残留応力を測定します
残留応力の影響
外力を加えていない構造材や機械部品でも、製造過程で施される様々な加工や熱履歴によって内部に応力が残っており、これを残留応力と呼んでいます。残留応力が引張り方向の場合、疲労強度の低下やメッキを施した場合のメッキ層剥離、摺動部における摩耗量の増加などの要因となります。日産アークでは、X線回折を利用した残留応力測定によって、様々な解析データをご提供します。
深さ方向への残留応力測定
ショットピーニングは硬質粒子を部品表面に衝突させることで、表層に塑性変形による加工硬化と圧縮残留応力を付与する処理です。これが繰り返しの引張り応力を緩和することで、疲労亀裂の発生や、亀裂進展を緩和させる効果があります。下図は測定部表面に電解研磨を施しながら、深さ方向に残留応力を測定した例であり、ショットピーニング処理を最適化することに役立ちます。
平面での残留応力測定
残留応力を格子状にポイント測定し、表面での分布を調べた事例です。和包丁は延性に富む地金 (軟鉄) と硬い刃先 (鋼) の金属を鍛接することで作られており、焼入れ後に生じる残留応力がそれぞれの金属で異なる様子が分かります。このように残留応力の表面分布を見ることで、応力状態を可視化することができます。