温度ストレス負荷のための冷却カーブを使ったTj測定によるパワーサイクル試験

パワーサイクル試験時に正確な温度ストレスを与えることが可能です。

ターンオフ・ジャンクション温度Tj測定方法

一般的に半導体のパワーサイクル試験において、発熱をさせないレベルの微小定電流をジャンクションに流した時の降下電圧Vfの温度特性を使ってTjを求めます。SiC-パワーMOSFETの場合、加熱用大電流をターンオフした直後に、ボディーダイオードのVfを測定します。
しかし、ターンオフ直後はリンギングが起って正確に測定ができないため、通常、Vfの測定のタイミングを少し遅らせます。例えば、100μs後に測定をおこないますが (以下「100μs法」) 、その結果、測定したTjが真の温度より低下してしまうという問題があります。
2010年に制定されたJEDEC規格、JESD51-14『一次元放熱経路を持つパッケージのRthj_c測定法』では、ターンオフ後のTjを正確に測定する方法として、横軸を時間の平方根とした冷却カーブを直線近似しターンオフ時点まで外挿して、真のTjを求める方法 (以下「外挿法」) を推奨しています。日産アークはこの方法をパワーサイクル試験のTjの計測に採用しました。

冷却カーブを使った外挿法Tj測定の検証

TO-247パッケージに実装されている市販SiC-MOSFETを、モールド樹脂を除去後に黒色塗料を塗った状態にて定電流印加による2秒通電のTjパワーサイクル試験を行いました。ターンオフ後のTjは、①放射温度計、②100μs法、③100~400μsの間の冷却カーブを使った外挿法、で測定しました。

外挿法で実測した冷却カーブから、100μs法では、真のTjより約8℃低く温度を指示することが判明しました。また、外挿法は、パワーサイクル試験の間、放射温度計と測定値がほぼ一致することが確認できました。

実際のサンプルでは、モールド樹脂によりチップが覆われていて放射温度計による測定ができないため、半導体温度特性の冷却カーブを使った高精度Tj測定が効果を発揮します。
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