パワーサイクル試験装置を使ったパッケージの耐久性評価と故障解析

パワーデバイスの長寿命化に貢献します

アニール処理によるパワーサイクル寿命の向上

パワーサイクル試験では発熱体であるチップの周辺に大きな温度上昇が瞬時に生じるため、その部分では熱応力変動による変位で劣化が局所的に進み、やがて故障に至ります。この劣化に、実装時の加工で生じた種々の劣化 (既存損傷) が重畳して実装の寿命を決めると考えられます。近年、パッケージの高耐熱化が進んでいることから、高温アニール処理が、既存損傷を減少させて、SiCパワーデバイスのパワーサイクル寿命を改善させる効果があるかを調べました。

サンプル準備とパワーサイクル試験結果

TO-247にパッケージされたSiC-MOSFETを、データシート上の上限保存温度である175℃にて、いろいろな時間のアニール処理を行いました。その後、ΔTj=130℃、1秒通電のパワーサイクル試験を行い、寿命 (オン電圧が初期より5%上昇したとき) を求めました。
試験の結果、アニール処理をした試料では大幅にパワーサイクル寿命が増加しました。特に25時間アニール処理をしたサンプルはアニール無のサンプルと比較して、3倍以上の長寿命化を達成しました。オン電圧の経過のグラフを示します。アニールを施したサンプルではオン電圧の上昇速度が遅くなることが観察されました。

Alワイヤボンディング接合部分の断面観察例

故障の原因を探るために、Alワイヤボンディング部分の断面をSEMで観察しました。
アニール無サンプルではSiCチップとの接合界面でクラックが発生して破断していたのに対し、25時間のアニール処理を施したサンプルでは、Alワイヤのヒール部分にて破断し、故障モードが異なることが分かりました。

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