液中試料の形態や分散状態を直接観察できます
急速凍結とCryo技術による含水試料評価
水溶液中に存在するサブμmオーダーの構造体の形態や分散状態を把握するためには、電子顕微鏡による観察が必要ですが、通常の観察においては電子顕微鏡は鏡体内が真空のため、サンプルを乾燥させて導入しなければなりません。しかしながら、乾燥状態では液中における本来の形態や分散状態は把握できません。
当社では、液体エタンによる急速凍結技術とクライオ電子顕微鏡技術を活用し、水溶液中のリポソーム (脂質二重層) などの形態や分散状態を観察することが可能です。さらに、HAADF像 (高角散乱暗視野像) やEDX (エネルギー分散型X線分光分析) を併用することにより、元素情報も取得できます。
クロドロン酸内包リポソームのCryo-TEM観察
クロドロン酸 (骨粗しょう症治療薬) を内包したリポソームとコントロールリポソームを急速凍結し、Cryo-TEM観察した結果、クロドロン酸内包リポソームは球形であり、周囲の水溶媒に比べて内容物が存在していることがわかります。一方、リポソームのみは不定形であり、内部は周囲の水溶媒と同じコントラストであることがわかりました。