Cryo-3D-STEM法を用いた液中リポソームの3D形態観察

液中ナノ粒子の機能や特性を理解するために、Cryo-TEM観察は、ナノ粒子を含んだ溶液ごと急速凍結することで、液中における本来の形態を観察することが可能です。電子線照射ダメージを抑制し、多数の視野を観察できる分析TEMによって、液中ナノ粒子のCryo-3D-STEM観察が可能となりました。

液中ナノ粒子のCryo-3D-STEM観察の有効性

液中ナノ粒子の機能や特性を理解するためには、液中での粒子サイズや形状、分散状態を把握することが重要です。Cryo-TEM観察は、ナノ粒子を含んだ溶液ごと急速凍結することで、液中における本来の形態を観察できます。
今回導入した分析TEMでは、電子線照射ダメージを抑制し、多数の視野を観察することができます。これにより二次元の形態だけではなく、液中ナノ粒子の三次元形態を見ることが可能となりました。

リポソームを用いたドラッグデリバリーシステム (DDS)

新たながん免疫療法の一つとして、リポソーム中に薬剤を内包したドラッグデリバリーシステム (DDS) 技術が注目されています。リポソームは、細胞膜や生体膜の構成成分であるリン脂質をカプセル状にした微粒子であり、がん組織の未成熟な血管壁の隙間を透過し、薬剤をがん組織に集積させるため、粒径100~200nmであること重要であり、粒径と三次元形態を観察しました。

クロドロン酸リポソームのCryo-3D-STEM観察

クロドロン酸リポソームのSTEM像とCryo-3D-STEM像

クロドロン酸リポソームのCryo-3D-STEM観察結果を示します。a) 傾斜角度0°のSTEM像では、赤矢印で示すリポソームが内包されているのか、粒子同士が重なっているかの判断は難しいですが、b) 3D構築像 (スライス像) で確認すると、リポソームを内包している様子が確認できます。

生物分野で構築されたクライオ電顕技術を材料分野へ適用

日産アークでは、生物分野で構築されたクライオ電子顕微鏡技術 (急速凍結、Low-doseモードなど) をもとに、材料分野へクライオ電顕技術を応用することで、液中ナノ粒子のサイズや微細構造を把握し、これまでにない新たな情報をご提供します。

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