高分子材料の耐熱性評価は時間のかかる試験です。化学発光イメージング法は、光や熱による劣化の際の発光現象を検知することで、劣化状態を可視化できます。また、4つの独立ヒータを備えた試料室と、酸化反応を高感度に可視化できるイメージングシステムで、耐久時間の効率化や、劣化機構の解明ができます。
化学発光分析の基本原理
高分子材料は酸素存在下で光や熱によって、自動酸化反応を起こすことが知られています (図1)。この過程で生じる過酸化物 (ROOH:ヒドロペルオキシド) は分解して、ROO・ (ペルオキシラジカル) を生じ、さらにROO・の2分子反応はR-OH、励起C=O、一重項酸素に変化します。励起C=Oと一重項酸素は高エネルギー準位にあり、基底状態に戻るときにフォトンを放出 (発光) し安定化します。この微弱な発光現象を利用して、試料の酸化情報を調べるのが化学発光分析の基本原理です。
化学発光イメージング法による加熱耐久試験の特徴
・4つの独立ヒータを備えた多検体試料室により、複数の加熱試験を一度に行えます (図2)。
・フォトンカメラで試験中の試料の酸化状況を可視化でき、酸化の有無が早期にわかります (図3)。
・酸化イメージ像から発光強度を抽出し、経過時間における酸化挙動がわかります (図4)。
・発光強度の寿命閾値を設定し、アレニウスプロットから寿命予測が行えます (図5)。
【仕様】
温度:RTから400℃
ガス:酸素、窒素、大気