半導体の電子エネルギー準位について、紫外線光電子分光分析 (UPS) 、低エネルギー逆光電子分光分析 (LEIPS) を用いた評価事例を紹介します。同一の装置・環境で、UPSではイオン化ポテンシャル (IP) 、LEIPSでは電子親和力 (EA) を測定でき、その差分から、バンドギャップエネルギー (Eg) を求めることができます。特に、3eVより小さなEgはLEIPS分析を用いない限り測定はできません。本測定により、デバイス設計時における材料選択の指針になる情報を得ることが可能です。
半導体のエネルギー準位
LED、太陽電池など薄膜半導体の分野において、効率の優れたデバイス設計のためには、用いる材料のエネルギー準位の情報が不可欠です。特に、バンドギャップは発光や吸光の波長域や、電気伝導の情報が得られるため非常に重要です。日産アークでは、UPS (紫外線光電子分光) によるイオン化ポテンシャル測定、LEIPS (低エネルギー逆光電子分光) による電子親和力測定を同一装置内で行うことにより、ギャップエネルギーの高精度な測定 (エネルギー分解能≦0.1 eV) が可能です。
微弱エネルギーの電子照射により、特定波長の光を励起。同時に真空準位を決定。光放出時初速の電子の運動エネルギーEkを求め、真空準位との差から電子親和力を評価。
hν=EA+Ek
EA=hν-Ek=3.7-0.3*
(*Evacとの差)