共焦点ラマンマッピング法によりサブミクロンレベルでデンプンの微細構造と化学状態が評価できます。本報では加工によるデンプンの結晶性の変化を可視化することで、溶解性など特性への影響に結び付けることができます。
加工デンプンの構造分析と物性変化予想
食品、医薬、工業製品などに利用されている天然高分子である「デンプン」の機能性の発現は、水分子の出入りと温度変化に伴う構造変化であり、糊化と老化 (図1) で見られます。
そのため、用途に合わせてデンプンの特性を維持し、機能を発現するために、物理的、化学的、酵素など加工を加えた加工デンプンが作られています。これらの加工後の粒子形状や結晶性、配向などをラマンスペクトル法の結果から可視化することで、物性の変化を予測することが可能です。
プレミックス粉 (加工粉) におけるデンプン構造の比較
主成分の強度分布 (左) とデンプン骨格 (483cm-1) ラマンピーク幅の分布 (右)を示します。
●小麦粉
骨格ピークの幅が狭く、自然状態のような高い結晶性
●プレミックス製品A (含有成分:小麦粉、トウモロコシデンプン)
デンプンの結晶性は小麦粉単独と同様の構造を示していることから、あまり加工されていないと推定される
●プレミックス製品B (含有成分:小麦粉、加工デンプン)
構造上結晶性が低下しているので、水が入りやすいことから糊化が素早いので、より簡単に調理できることなどが推定される。
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