走査型透過X線顕微鏡による接着界面の化学状態観察

走査型透過X線顕微鏡 (STXM) を利用することで数10nmの分解能で化学状態を議論できます。基本原理はX線吸収 (XAFS) なので他のスペクトロスコピーより詳細な議論が可能です。X線を利用することで試料ダメージが軽減でき、約10μm視野での観察が可能です。

接着界面のナノスケール化学状態観察の重要性

接着界面において機械物性、化学状態分析、形態観察を補完的に実施し、接着界面の強度発現メカニズムを理解することは、接着技術の開発には重要です。走査型透過X線顕微鏡 (STXM) は、X線吸収 (XFAS) を原理としており、接着界面の化学状態をナノレベルで評価することが可能です。

STXM

STXMの原理

XAFSは電子構造を反映し、構成元素の化学状態、結合状態、配向性を議論することが可能です。更にゾーンプレートでX線を数10nmに集光し、試料移動と入射X線のエネルギー掃引を行うことで、スペクトルマッピングを得ることができます。それらのスペクトルを機械学習によってクラスタリングし、特異値分解 (SVD) 解析することで化学状態を色分けで表示することができます。

STXM
STXM

STXMによる接着界面 (初期品、高温高湿保存品) の観察

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FIBによって厚さ約100nmに加工した初期品、高温高湿品の接着界面の試料を用いてSTXM観察を行いました。酸素K吸収端のエネルギーで酸素の化学状態を観察すると、場所によってその状態が違うことが分かりました。また、初期品と高温高湿保存品の界面を比べると、高温高湿保存では新しい界面層が形成されていることが観測できました。

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