PP/CMF/MAPP複合材について、断面観察およびX-CTを用いてCMFの分散状況を確認しました。MAPP有の試料の方がCMFの凝集物が小さく、MAPPによる分散性の改善が確認されたことから、分散性の向上が強度向上の一助であることが確認できました。
CMF複合材の分散性を評価する重要性
環境に配慮した材料としてCMFを始めとした天然繊維が注目されています。一方でCMFなどの天然繊維は母材樹脂との密着性や分散性が悪いため、一般的にMAPP (マレイン酸変性PP) のような相溶化剤を添加して樹脂との密着性・分散性を改善し、機械特性を向上させます。
CMF複合材の引張強度試験結果
引張試験により、CMFおよびMAPPを添加した複合材の引張応力は最も高くなり、CMFによる補強効果およびMAPPによる分散性・密着性の向上が示唆されました。
配合比 (wt%)
|
PP |
CMF |
MAPP |
試料① |
68 |
30 |
2 |
試料② |
70 |
30 |
0 |
試料③ |
98 |
0 |
2 |
PP/CMFの断面光学顕微鏡観察結果
断面の光学顕微鏡観察により、CMF複合材中ではCMF単繊維が凝集して形成されたCMF凝集体が確認されました。
X線CTと画像解析によるCMF凝集体の三次元分散性評価
X線CT測定によりCMF凝集体を三次元で可視化し、画像解析によりCMF凝集体の粒度分布を比べたところ、MAPP有の方が50μm以上の粒径をもつCMF凝集体の個数は少ないことが確認されました。このことから、MAPPによりCMFの分散性が改善し、強度向上の一助となっていると考えられます。
更に高分解能で観察することで、CMF単繊維に着目した解析も可能です。
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