ナトリウムイオン電池負極のNa状態の定性・定量評価

ナトリウムイオン電池 (NIB) の充放電サイクルを繰り返すと、負極の活物質表面や内部ではSEI成長やNa金属析出を生じる可能性があり、これらは電池容量の低下や抵抗の増大に深く関与します。負極活物質のNMRとICPの測定・解析により劣化に伴うNaの状態の定量評価を行うことができます。

NIB充放電にともなう負極の劣化について

ナトリウムイオン電池 (NIB) の充放電に伴って、負極上では電解液の還元分解反応が進行し、SEI (Solid Electrolyte Interface) が形成されます。サイクルを繰り返すと、負極の活物質表面や内部ではSEI成長やNa金属析出を生じる可能性があり、これらは電池容量の低下、抵抗の増大、安全性に深く関与します。

23Na NMRとICPを組み合わせたNa状態の定量評価

23Na NMRスペクトルでは、Na金属とその他のNa (SEI・Na塩/化合物・カーボン層間Na) を明確に区別して観測することができます。また、23Na NMRスペクトルの信号はNa原子のモル数に比例するため、各状態の存在比を知ることができます。ここにICPによるNa量の定量結果を組み合わせることによって、Na金属とその他のNaの絶対量を算出することができます。

サイクル劣化させた負極中のNa状態の定量結果

サイクル数に伴い負極中のNa量が増加する傾向がみられ、特にサイクル品ではNa金属が観測されました。これらの分析結果から表中のように負極表面や内部でのNa析出やSEI成分の増大傾向が分かります。このような負極の劣化は電池の容量低下の一因であると推察されます。
NIB ナトリウムイオン電池
NIB ナトリウムイオン電池 NIB ナトリウムイオン電池
NIB負極中の各状態のNaの定量結果 (mass%)
Na金属SEI・Na塩/
化合物・カーボン層間Na
初期品03.6
100サイクル品0.85.1
400サイクル品0.78.0
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