AFM-IRを用いたPVDF膜の加熱ケミカルイメージと結晶状態の可視化

結晶性ポリマーを加熱すると、一般的に相転移 (ガラス転移、融解など) 現象とともに結晶状態が変化します。結晶状態の変化は材料の機能特性に影響するため、温度と結晶状態の関係を調べることは非常に重要です。AFM-IR分析にてサーマルプローブを使用すると加熱ケミカルイメージを得られ、高い空間分解能で結晶状態の変化が可視化できます。

加熱ケミカルイメージの方法

AFM-IR分析にて加熱ケミカルイメージを得るには、室温~300℃まで加熱できるサーマルプローブを使用します。原子間力顕微鏡 (AFM) と同じ原理で、一定温度に保持したサーマルプローブを試料表面上で走査します。AFM像、加熱ケミカルイメージを同時に取得することができます。結晶性ポリマーであるPVDF膜へ適用例を示します。

PVDF膜の加熱ケミカルイメージ

PVDF膜のAFM像およびケミカルイメージを室温と200℃の加熱時での測定結果を示します。
AFM像は室温と200℃で大きな変化はみられませんでした。一方、ケミカルイメージは室温で白い部分が200℃で消失している様子が確認されました。これは、PVDFの融点は173℃のため結晶が融解したことによる状態変化と考えられます。

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